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耐震診断と補強

      
耐震診断
    昭和56年に、建築基準法の構造に関する規定が大きく変わりました。
    それに伴い、それ以前に建てられた建物は、現行規定に要求されている耐力を満足していない建物がある
    と考えられることから、現状の建物が実際どうなのかを計算して、建物耐力の状況を把握すると共に、耐力
    が規準を満足していない時は、補強を考えていただく、その最初の作業が、耐震診断です。
    
 
木造

   昭和56年以前の木造住宅では、各市町村が、無料の耐震診断を行っています。
   是非利用してください。 この診断を受けていれば、補強時に補助が受けることが出来ます。
   NPO法人、三重県木造住宅耐震促進協議会が中心となり、診断員は、地元の建築士が行い、協議会が
   計算書の妥当性を判定しています。

   診断には、一般診断と精密診断の二種類があります。
   精密診断では、各ヶ所の点検と筋かい等の位置確認が必要となります。
   その為、筋かい等の確認には仕上材の撤去を要する場合も多々あり、診断時点で、かなり費用も掛かって
   しまうことから、精密診断は、殆どされていないのが現状です。
   市町村の無料耐震診断は、一般診断で行っています。
   尤も、一般診断で行っても、補強時点で、筋かい等の確認が出来ますから、大きく問題になることは
   少ないと思います。
   
   
   診断は、構造材の構成、壁(筋かいの壁・土塗り壁等)の配置を確認すると共に、老朽化(経年変化)及び
   基礎等の状況を総合評価して、計算するものです。
   木造の場合 、評点が1.0を概ね安全と考えています。

  注意
   一般的に、平成12年以前の建物は、筋かい金物を使用していないものが、殆どですから、昭和56年以降
   でも、診断すると、筋かいの評価の低減から、倒壊ラインに入る場合が考えられます。
   外壁の改修とか、室内の改修される時は、診断することをお勧めします。そして、金物を取付てください。
   軽微な費用で、格段に耐力が上がると思います。
   
     

鉄骨造 ・鉄筋コンクリート造
         
    鉄骨造・鉄筋コンクリート造においては、全体としての一般的補助はありませんが、一部の建物に補助が、
    あります。それは、用途と期限等に制約がありますから注意が必要です。
    
  鉄骨造
    現状の確認が必須ですが、錆による耐力低下が考えられる建物は、診断できません。
    鉄骨造の場合は、柱・梁の仕口(取付部)の仕様が大きく耐力に影響します。また、筋かいの仕様も、
    大きな要因となり、それと基礎と柱の接合部も同じく、それらの調査・確認が最も重要となります。

    診断はそれらの、データを基に劣化を評価し、計算を行うものです。屋根・床に配置されている水平の筋かい
    の評価を検討することも診断の範囲です。
     (柱間の大きな建物は、柱・筋かいの耐力があっても、地震力が伝達できない場合があるからです)
  
      
  鉄筋コンクリート造
    鉄筋コンクリート造の場合は、コンクリートの強度を調査することが必要になってきます。
    機械的に調査することも出来ますが、コンクリート強度が主ですから、現状で構造上問題が無いヶ所から
    テストピースを採取して、強度を確認することが、最善です。

    診断は、現地調査・図面から経年変化(劣化)を考慮して計算をします。
    昭和56年以降と言えども、改正当初は、袖壁・たれ壁などの評価をせずに、柱と梁及び耐震壁のみで処理
    している建物もありますから要注意。 しかし、壁の多い建物では、安全の判定が出ることも多々あります。
    ですが、柱横に小開口があるような建物では、柱の剛性が上がり、せん断破壊を起こす危険があります。
    昭和56以降でも、平成3年くらいまでなら、診断をされることをお勧めします。

 
補強
   
   耐震診断で、倒壊の危険があると判定された建物を、最も効率よく耐力を上げる方法を検討して、
   劣化改善を含め、補強材を取付・配置した場合、規準を満足するか再度計算をし、満たすことができれば、
   実施設計を経て、補強工事を行っていきます。
    
木造
   
   補強方法は、地震力を減らす方法と耐力を上げる方法があります。
   前者は、屋根瓦が土葺きの場合に、土葺きを桟瓦としたり、スレートや金属板葺き等軽量化します。
   後者は、壁を増設したり、筋かいを増やし、金物を取付けるなど、強固にします。
   どちらにおいても、劣化がある場合は、改善をする必要があります。
   診断を受ける建物は、そろそろ修繕や改修をする時期に来ていると思います。
   建物は建てたら一生物と思っている方が多いですが、そうではありません、見えないところで、傷んでいます。
   この際に、手入れと耐震をされることをお勧めします。 その時なら補強費も少なくて済みます。

   実際工事の費用は、外壁を改修した建物では、外壁改修費+50万円くらいでした。
                外壁そのままで、室内の押入等に多く補強した建物では、150万円くらいでした。
   建物によって、かなり工事費に差が出ることも確かですが、一度検討してみることも大切です。
   
   どれだけの補強が必要で工事費は、どれくらいかを知る耐震補強設計をする費用の補助がありますから、
   よい機会だと思います。 是非検討してみては如何ですか。
   
鉄骨造・鉄筋コンクリート造

   鉄骨造の補強としては、多くは筋かいを補強材として配置することが、比較的に安価で容易です。
   しかし、空間の制約が発生するので、筋かいの配置が無理な場合は、柱の補強等が考えられます。
   また他には、地震力を小さくする為に、基礎部や柱などに免震材を取付る方法もあります。

   鉄筋コンクリート造は、耐震壁の増設や、鉄骨筋かい壁の設置(V型が学校に)があります。
   これらは、直接耐力を向上させるものです。 中に柱に炭素繊維などを巻いてせん断破壊に抵抗する
   ものもあります。
   また、上記のように免震や粘性ダンパーなどを設置する制震と言った方法もあります。